私たちの法人は、精神障がい者支援を行うことを使命としています。そして、支援を行うにあたっては、常に様々な面から「人間」について考え支援を行っています。
私たち法人が、そもそもの成り立ちから大切にしてきたことは、支援をすることに先立ち、「共にいる」ということでした。たとえば、入院している絵を描くことが好きな方たちや、地域の福祉施設に通所している方たちの絵を集めて展覧会を開き、そこに皆が集うというようなことがありました。そのような活動を行いながら平成8年、京王線中河原駅にほど近いアパート2階の一室を借り、初めは一個人土屋真理子が、一人暮らしをしていた精神障がい者の方と2人で、じきに一人また一人と増え3人で4人で、エプロンや人形を作ったり、また画家がボランティアで絵を指導したり、そして作ったエプロンや布製品をバザーやお祭りで売ったりしてきました。私たちには、支援より先に、集まったり、一緒に何か作ったり、絵を描いたりする「共にいる時間」がありました。
平成9年4月、私たちは、支援する団体として行政から認められることとなりました。とは言っても、私たちはそこでたちまち支援者になったのではなく、それからも人間としての出会いのなかで共にいることを大切にしてきました。遅々たる歩みですが、オリジナル商品を製作し、絵を描き、音楽活動をしながら、その後農園や喫茶店を運営するようになりました。支援を行うことでは、施設や支援システムは当然大切なものですが、私たちはそれと同時に「繋がってあること」を支援の礎として考えてきました。
近年、喜ばしいことに精神障がい者福祉や医療の分野において、次々に新しい知見が得られ、支援方法や支援システムの開発もなされています。本当に障がい者やご家族にとって有益なことだと思います。そして、「病院から地域へ」という大きな支援の流れは、多くの困難はあっても深く流れ続けています。
しかし、長年の入院中心の政策に起因する大きな矛盾が、まだまだ障がい者福祉医療の世界には満ちていると思います。そればかりか、発展し成長していると考えていたことが、逆に多くの矛盾を作り出し、大切なものを失ってしまっていることも少なくないのではないでしょうか。私たちは、障がい者支援を行うに当たり、常に社会の矛盾と向き合い、変革する使命も担っていると考えています。
実際に、支援を行う中で、現場から人間性が削ぎ取られているような感じを覚えることが時々あります。私たちは、支援が対人間で行う関わりである以上、能力にばかり焦点を当てることは出来ません。その人個人の人生に深く関わるため、画一的に社会に合わせていくような考え方も出来ません。その人がその人らしくあり続け、そのまま社会で共に生きていけるようになることを支援の指針としています。
よりよい支援方法や支援システムの基礎となるもの、それは、社会の文化です。簡単に言えば、社会が障がいをどのように捉えているかということです。私たちは、これまでずっと、支援者としての私たちの文化を大切にしてきました。私たちが考える支援文化とは、障がい者と向き合うのではなく、「個性を持った一人ひとりの人間と向き合う」ということです。人は、障がいがあってもなくても個人として尊重され、自由に社会の中で共生し、豊かな人生を探求できるという考えです。それゆえ支援を考えるとき、自由な個人の生き方、社会の在り方、色々な価値観、さらに美意識についてまでも深く考え続けています。それは支援の方向性を考えるときの基準になったり、また私たちの日々の支援の在り方そのものとなっています。
NPO法人コットンハウス、フレンズ理事
訪問看護ステーション風所長
土屋 秀則
1996年03月 | 小規模作業所コットンハウス、フレンズ 開所 |
2007年02月 | NPO法人を取得 |
2007年10月 | 府中市から委託を受けて農園「フレンズファーム」 開所 |
2008年10月 | 指定障害福祉サービス事業の認定を受け、 「フレンズファーム」で就労支援事業、 「コットンハウス」で就労継続支援B型事業を開始 |
2011年11月 | 就労継続支援B型事業「café コットン畑」(喫茶) 開店 |
2012年05月 | 訪問看護ステーション風 開設 |
2014年03月 | グループホーム「風媒花」開所 |
2014年04月 | 相談支援事業所「つづれおり」開所 |
2022年04月 | 訪問看護ステーション風、調布サテライト開所 |
2022年07月 | 就労継続支援B型事業「café そらいろ」(喫茶)開店 |
2023年04月 | 相談支援事業所「つづれおり」廃止 |
2023年06月 | 就労支援事業「フレンズファーム」が就労継続支援B型事業へ形態変更 |