新年のご挨拶   理事長土屋秀則

2017年新年のご挨拶  
NPO法人コットンハウス、フレンズ
理事長土屋秀則

暖かく穏やかな元日を迎えました。
ここに、日頃からの皆様の温かいお気持ちに対しお礼を申し上げます。また、本年の法人事業における決意を述べさせていただき、引き続きご愛顧を賜りたくお願い申し上げる次第です。
私達の事業は、本年、開設20周年を迎えました。アパートの一室から始めた集まりでしたが、振り返ってみれば、何時の頃からでしょうか、地域に少しはお役にたっていることを感じられるようになり、また事業全体でもいくらか成長が見られていることを皆様からお話しいただけるものになっています。ありがとうございます。
私は、この20年目という節目に、「今も20年前と変わらないものを追い求めている」という思いが湧き上がって来ます。私達の変わらないものとは、「障害がある人もない人も、ともに学び、働き、遊び、表現し、自己実現と社会貢献を目指す」というものです。なかでも、「ともに」というところが大切なのですが、この在り方は、20年かけても実はあまり出来てきませんでした。私は、今後も変わらずこのことを追及していかなければならないと考えています。20年前よりも現在、社会の中で必要なのはこの私達の目指す「ともに」の在り方なのだろうと思うからです。

昨年は、「今、国際政治は分水嶺にある」ということをよく聞いた一年でした。実際私の目にも世界はそう映ります。すでに十数年前より流れが変わっていた世界経済を巡る状況に、この国際政治の流れが覆いかぶさって歴史は何処へいくのか予想がつきません。
私は、私達の小さな事業ですら、漏れなく世界経済や国際政治と密接に繋っていることを感じます。
おそらく社会は、あらゆる分野で矛盾が溢れ、ぬかるみのような状態となるでしょう。社会の矛盾は、貧困と格差の広がりに最もよく表れていると思いますが、それを是正する方策は全くとられる気配がありません。福祉事業は経済原理を導入されて、競争主義になってしまいました。
私達が営む福祉事業には、真っ暗な未来が口を開けて待っているといった状況です。
私達が、「コットンハウス、フレンズ」を開設した20年前は、まだ憲法25条の生存権が生きていて、福祉イデオロギーのもとで事業が行われていたと思います。現在、福祉事業に携わっている人のなかで、福祉社会、福祉国家への貢献を考えて仕事をしている人がどの位の割合でいるのでしょう。社会や事業の在り方が変わっただけではなく、同時に人間も変っていることを感じます。
福祉が崩壊することは、社会や人間のこころの崩壊を意味します。
「障害者はいないほうがいい」と言って殺人事件を起こす人間が出現しました。弱い者が自分よりさらに弱い者を抹消する。これは事件でしたが、社会もまた、既得権を持つ者、裕福な者が、持たない者弱い者を無視する社会になってしまっています。二つの事象は紙一重だと思います。
2本足で歩くようななった人間は元来不安定で弱い動物かも知れません。だから助け合って生き延びてきたと思います。しかしここにきて、動物としての人間が一気に頭をもたげました。力を持った強い動物が、弱い動物の生存権を奪うことは自然なことという訳です。
一人ひとりが繋がってある社会を崩壊させる道を、政治も経済も多くの人間も歩いています。

この状況にあって私達福祉に携わる人間には一層の辛苦が待っています。
しかし、それだからこそ私達には存在意義があると思っています。これまで以上に社会から必要とされていくと思います。20年前と同じように「ともに」という考え、在り方で、豊かさや幸せを追及していくことをやり続けようと思います。生き方下手のそしりを受けようと、知恵を振り絞り、アイデアを集めて乗り切ろうと思っています。一つの事業所では出来ないことですので、皆様と手を取り合って明るく楽しく、険しい道だからこそ喜んでこの仕事を続けていければ、と思っております。
今年一年どうぞよろしくお願い申し上げます。


本年1月より後、初めての更新になりました。
福祉事業の「コットン」の方は、大きな変化はありません。
ただ、本年度で20周年となるため、今後様々な面で新しく変えていこうかと考えている事柄が幾つかあります。
1つ、5月からですが、「綿の会」というコットンの事業プロジェクトチームを作っていて、現在月に1回会合を持っていますことをお知らせします。
メンバーは、コットンと風の職員4名とコットン所長土屋と風所長土屋です。
ここでは、今後の事業の展開と業務の改善について主に話し合っています。現在は、2つの課題・目標に取り組んでいるところです。
その事も含め、多くの変革とまた事業の展開を私自身考えているところです。

さて、本日は、先の10月14日の学会で開かれたシンポジュームで、私が発表した「訪問看護ステーションから見た地域連携の現状と改善策」
のまとめ原稿を「おしらせ」に乗せることとしました。お読みいただければと思います。

「訪問看護ステーションから見た地域連携の現状と改善策」
           ~ 先生、地域を少し助けて下さい ~

                       平成28年10月14日
                       NPO法人コットンハウス、フレンズ
                       訪問看護ステーション風 
                       土屋秀則

はじめに
  訪問看護ステーション風は府中市にあります。開設4年半になります。規模は小規模で、私を含めて全て常勤職員ですが、女性5名・男性4名の計9名 で仕事をしています。
  法人は、他に作業所・グループホーム・相談支援事業所を運営しています。開設20年となります。
 訪問看護を始めてより、様々な問題点を感じながら地域で仕事をしていますが、今回は「地域連携」に関する問題点に焦点を当ててお話したいと思いま す。

1、地域の精神障害者支援で大切なもの
  精神保健福祉医療について考えるとき、私は、どうしても「地域」と「病院」という2つの支援について考えてしまいます。2つの支援は、勿論互いに 繋がっていますが、二律背反という程ではないにしろ、何処かで分断されていることも感じます。
  そこでまずは、病院と地域支援の特徴について考えてみました。それを踏まえ、分断の感覚が何かを知り、同時に地域支援で大切なものは何かも考え てみました。

〈病院の特徴、地域支援の特徴〉
ア、病院の特徴
  病院は、症状に関わる。
  病院は、個人を全身抱えるが、人生にはそんなに関わらない。
イ、地域支援の特徴
  地域支援は、人生に関わる。
  地域支援では、個人の全部を抱えることはないが、一人ひとりの様々なニーズの全体に関わり、結果的に人生に関わることになる。    
    ――これはもしかしたら古いイメージなのかもしれません。時代は変わっている?
    ――それでは、何故病院と地域は分断されていると感じるのでしょう。

〈地域支援で大切なもの〉
  私は、常々、訪問看護には3つの仕事があると思っています。1つは、日々の訪問です。2つ目は、緊急時の対応です。3つ目は、様々な地域の事業所 と連携する仕事です。
  地域生活を送っている人は、一人ひとり異なる様々なニーズを、もう一杯持っています。地域支援においては、一人の利用者さんの様々なニーズに対 して、一つの事業所が包括的に関わる事は現実的に無理があります。支援は、多くの場合幾つもの事業所がチームとして連携・協働して行うことになり ます。
  そこで、地域で大切なものは、事業者同士の「連携する力」ということになります。
  病院と地域支援との間にある距離は、この「連携」に関することだったと思います。
  
2、訪問看護から見た地域連携の現状
  訪問看護の3つ目の仕事、「連携」は放っておいても出来るものではありません。仕事として意識的に行わないと成り立たないところがあります。
 地域において、事業者間で連携が上手く行かないことは沢山あります。4年半の間、上手く行かなかったことを挙げればきりがありません。しかし、大 方の事例は、将来は上手く行くのではないかと楽観が出来るものです。時間を掛けて調整していけば、いい連携が出来るようになるはずだと思っていま す。
  しかし一つだけ、将来的にも、連携していくことに自信が持てないものがあります。それは、医師との連携です。
  医師との連携は希薄です。距離があります。この距離を埋めることは、たやすいことではないでしょう。

  医師と上手く連携できない例として、「情報共有」を観点にして数字を出してみました。
  ア、訪問開始時の医師からの情報提供
    平成28年9月31日現在で、私達がこれまで指示書を貰った件数は260件です。
    その中で、訪問看護開始時にケア会議が開かれたり、なんらかの書面で生活歴や治療歴等の情報提供が病院からあった例は、丁度130件(50%)   です。
    この130件の中から、ケア会議が開かれたことで文書の提供がなかった件数41件と、医師からではなく看護師・PSWからの情報提供文書しか    なかった件数32件(重複件数がある)を差し引くと、医師から直接情報提供があった件数は71件(27%)でした(この27%には同じ医師が含ま    れる)。
  イ、直接的な医師とのやり取り
    さて、ケア会議で会ったり、電話やメールでやりとりをしたことのある医師は、指示書を貰った医師233人のうち101人(40%)でした。
  ウ、地域で行われるケア会議への医師の参加
    私達の訪問看護ステーションは4年半前の設立ですが、病院で行われるケア会議は別として、地域で行うケア会議に医師が参加することはあり    ません。しかし、たった1度だけ医師が出席してくれた例がありました。
  エ、クリニックとの関係
    クリニックから訪問看護の依頼を受けたのは、260件中7件でした。
    病院からクリニックに通院先を変えることもあるため、現在クリニックに通院している利用者は34件です。
    そのクリニックでケア会議が開かれた例は2例のみです。 
    何年か前の事、クリニックの医師に、保健所で開かれるケア会議に出てくれないか頼んだことがあります。その医師は言いました。「ボラン     ティアで出るのは良くない。それが当たり前になる。まずは制度から整備すべき」と。もっともだと思いました。   

  これらアからエまでの数字を多いとみるか少ないとみるか判断は異なるでしょうが、私は少ないと感じています。そして、訪問看護は余り医師と連携 できていない、余り医師の力を借りられていないという実感があります。

3、精神科医師には、病院から出られない事情があるのだと思います  
  一体どうして、私達地域支援者は医師の力を借りられないのでしょう。
  ここでは私は、現在の病院・クリニックと地域支援事業所の関係性がどういったものになっているか、主観ですが、見てみました。病院・クリニック と地域支援との間にある関係性は、大雑把にいえば2つの形があると感じています。
 ア、「お城 ― 城下町」タイプ
   お城のような病院企業があり、地域は下請け企業のような形で支援をしている。
 イ、「孤高のクリニック ― ネットワークの地域支援事業所」タイプ
   地域には、独立独歩・孤高のクリニックの医師がいる一方で、連携しなければ支援が成り立たない地域事業者ネットワークがあります。
 ※ACT
    10年前にアクトを率いる医師の講演を聞きました。医師は言っていました。「連携はしたくない。行政ともしたくない」と。アクトは自己完結型   包括支援であるため当たり前の話だと思います。

  私の主観ですから、上記のイメージは正確さを反映してはいないとは思いますが、それでも、一事業者としてそうイメージできるのです。病院であれ クリニックであれ、地域事業者との連携は希薄で、医師は遠いところの存在です。
  こうなった理由ですが、(他にも理由はあると思いますが)私は、1つには経営上の要因、つまりそれぞれの事業がどう発展しているかが関係してい ると思います。
〈病院の発展、地域の発展〉
  私は、地域支援の発展より、昨今の病院の発展に目を奪われます。当然のこと、病院は経営的に上手く行っているから発展しているのでしょう。
 ア、病院の発展
   通所支援のデイケア・外来OTを運営し、訪問看護やPSWのアウトリーチ、そればかりか、認知症病棟開設、そして今や高齢者用住居、グループ  ホームまで用意しています。
   現在病院は、患者さんの人生まで引き受けるような地域包括支援をしています。一面、病院は大規模ACTの様相も呈してきていると思います。
 イ、地域支援の発展
   福祉分野では就労支援施設の進化が目覚ましいように感じられます。相談支援も実績を上げていると思います。しかし経営的には従来から厳しいも  のがあります。
   医療分野では、クリニックと訪問看護の数の増加が見られます。ただ、数は増えていても質という事ではまだまだの面があると思います。
   訪問看護が、病院の下請けのような事業になっているのではと感じることもあります。

  こう見てくると、医師が地域医療に目が向かない理由が分ってきます。
 医師の皆がみなそうとは言いません。他にも大きな理由があると思います。しかし、これだけ病院の治療と機能が発展すれば、敢えて地域に目を向けな くとも、医師は充実した病院治療生活を送れると思います。
  クリニックを開設する医師もいますが、ただ、病院の診察室がマンションに移っただけで、また孤高すぎることもあり、地域支援・地域医療に出て来 ているとは言えません。
  
4、地域を変えるのは誰だ
  脱施設化は、その理念が謳われてから10年以上が経過し、いよいよ絵に描いた餅になろうとしています。私は、実は、少しでもこの理念に応えようと 仕事をしています。しかし、焼け石の水にもならないようです。
  私は、もしも、医師達が地域支援の可能性を見て、地域にもっと目を向けてくれるなら、この国の精神障害者支援は恐らくもっと早く変化していくだ ろうと考えています。しかしそうはなりません。
  訪問診療を行っている精神科医は極々僅かです。診療報酬が採算に合わないのでしょうか。一般科の訪問診療は発展していて、訪問診療医師は数えき れないほどいると聞いています。しかし、精神科訪問診療医は、私の地域では2人しか知りません。私達が最も連携できる医師は、訪問診療を行ってい る医師とですが。
  私は、今でも職員に言っています。「自分達は地域のチームの一員なんだ。ただ仲よくするだけではだめ。他の事業所のために仕事をしろ」と。私  は“風”を育てていますが、それは、地域のチームのいい一員となるように育てています。for the teamの考えで仕事をしています。10年前に聞いた  ACTの話には10年以上優に遅れています。
  最後に大ヒンシュクを買う提案をさせてください。
  ア、病院は入院機能だけにし、外来通院は地域クリニックだけにさせてください
  イ、訪問看護を精神科病棟の中に行かせてください
  ウ、ケア会議に出席する医師に診療報酬を出してください
  病床が減らせないのなら、医薬分業ではありませんが、入院外来分業がいいのではないかと思います。病院は入院治療に特化し、外来は地域クリニッ クが担う。
  また、訪問看護が、入院した利用者さんに対して、病棟へ訪問サービスするというのはどうでしょうか。これまで面会という形で、何人かの方を病院 に訪ねたことがありますが、相当な効果があるように感じられるのですが。患者さんは、地域との繋がりを保つことが出来ます。
  そして最も簡単にできる事と思いますが、国が、医師の地域ケア会議出席に診療報酬を算定することを行なえば、少しは地域支援の充実の後押しとな るでしょう。「それでも医者は出ないよ」とは言わないでください。報酬があれば地域ケア会議に出ると言っている医師も現にいるのですから。焼け石 に水でも水は掛けてほしいと思います。


 明けまして、おめでとうございます。
新年を、希望に胸ふくらませ歩みだすことが出来ましたことを、皆様方に心から感謝し、お礼を申し上げます。
 本年は、私たちが活動を始めて20年目という節目の年となります。この間の業績は微々たるもの、歩みは遅々たるものでした。しかし、利用者さん一人ひとりへは、ずっと変わらず、温かく心通いあえる支援をさせて頂けるよう心掛けてきました。20年という峠を超えましても、これまでと変わらず、私たちは、心を尽くした温かい支援をさせて頂きたいと願っております。
 さて、昨年私が感じましたことの一つに、自然環境や社会の様々な分野で、その発展・進化や変化のスピードが一気に加速されたのではないかいうことでした。地球温暖化の問題はもとより、グローバル経済、情報化社会における発展や変化はどうもバランスが取れたものにはなっていないように感じられます。戦争と平和、経済格差等の問題、日本における少子高齢化の問題等は、バランスを欠いた速すぎる発展、変化にも大きな原因があるようです。
 私たちは精神保健福祉医療に携わっておりますが、この分野での発展進化はどうでしょうか。日本においては、残念なことにこの分野の発展進化はあまりにも遅いものになっています。
 私が初めてこの精神保健福祉医療分野に入ったのは、もう30年近くも前のことになります。最初は精神科病院の病棟でした。そこは、残念なことに、それまで私が生きてきて体験した世界の中でもっとも悲しい場所でした。やさしい場所であるはずと思っていたところが、そうではなかったのです。昨年は、高齢者施設で行われていた虐待の様子がTVで放映されました。私は、30年前ですが、精神科病棟でしばしばそういう光景を目撃しなければなりませんでした。
 現在、多くの精神科病院の建物は、輝くばかりの高層ビルになっています。建物だけではなく、病棟内もやさしさが満ちている場所に変わったと思います。この変化は良いことだと思います。
 しかし、西欧諸外国では、以前から精神科病院が減少していく傾向にあります。様々な問題はあるとは思いますが、病院がなくなった国さえあります。病院がやさしくなったのではなく、社会そのものがやさしくなっているのです。つまり、入院患者さんたちは地域に受け入れられ、一定の役割を果たしながらそれぞれの場で生活を続けられるようになっているのです。
 地域にあるもの、それは、自由であり平等であるやさしい生活です。
 私たちは、20年間、一人ひとりの利用者さんに対してやさしい支援を行っていくよう心掛けて来ました。と同時にずっと、入院している多くの精神障がいを持った皆さんが地域で暮らせる社会になるよう念願しつつ活動してまいりました。しかし私たちの力は小さく、どれほどの貢献が今入院している皆さんに対して出来たかは疑問です。
 日本では、病院は発展進化しました。しかし、地域の精神保健福祉医療は、精神科クリニックが増えたということはありますが、ほとんど20年前と変わりません。経済的側面からいえば、精神保健福祉医療分野で掛かる費用は、現在も90%以上が病院に使用されています。地域保健福祉医療が使用している金額が少ない状態はそのままです。地域の力が弱いから地域保健福祉医療が発展しないのかもしれません。それとも経済的な制度の問題があるため、つまり地域に使用できるお金が少ないことから、地域の力が弱いままなのでしょうか。
 私たちは、今後も地域の精神保健福祉医療の一端を担うものとして、一歩一歩力をつけ、この分野がバランスのとれた発展進化をしていくことに貢献していこうという考えでいます。一つの目標ですが、今年はこれまで以上に、入院している皆さんが一日も早く地域に出て来られて、管理されるのではなく自由で、自信をもって対等に、自分の気持ちを大切にして穏やかに毎日が送れるようにと考えて仕事を進めていこうと考えています。そのため利用者の皆さんの力をもっと高め、共に力を合わせて仕事をしていくことも進めていきたいと考えています。
 無論現在ある制度を少しでも変えなければならない、制度の再構築を果さなければならないという使命もあるのですが、私たちはこれまでどおり出来るところから始めさせて頂ければと考えています。自分たちの今ある力を出し切って、利用者さんと共に精神保健福祉医療を少しでも良くしていければと願願っております。
 戦後70年が経ち、戦争の匂いが感じられるような昨今です。速すぎる発展や変化は矛盾を生み、それを修正できなければ社会はやさしさを失います。社会は格差と差別を固定化させ、国は戦争をしなければならなくなることもあると思います。もし、社会全体で人が人にやさしくなれれば、格差を是正することが出来れば、そして精神障がいを持っている全ての人たちが安心して地域で暮らせるやさしい社会になれれば、日本は戦争をしなくてもいい国になっていくのではないでしょうか。
 先行き不安な社会ではありますが、私たちは希望をもって今後も精神保健福祉医療に貢献させて頂く所存です。これまで以上のお力添えを切にお願い申し上げます。
 
 平成28年元旦    NPO法人コットンハウス、フレンズ理事長 土屋秀則
 


 新年あけましておめでとうございます。
 今年も訪問看護師募集のお願いをいたします。
 今年私たちは、多くなる一方の訪問看護への利用依頼に応えるため、新たに事業を開設しようと計画しております。そのために若干名の職員さんを募集しております。
 私たちは、訪問看護を希望される精神障がいをお持ちの方達全員に私たちの訪問看護を提供させて頂きたいと考えております。訪問看護は、本当に様々な形でその方に合った援助を差し上げることが可能です。地域で管理されることなく自由に、また一般の市民と対等に生きる精神障がいを持つ方に、寄り添う形で支援をさせて頂くことの中には、思いもよらない多くの喜びが生まれます。
 昨年私たちは1名の職員を採用したしました。しかし、その後も利用者さんは増え続け、現在すでに受け入れに無理が生じてきています。利用依頼をお断りするのは心が痛むところです。
 そこで私たちは、依頼に応えるため複数名の職員さんを採用させていただき、新たにステーションを立ち上げることを考えました。そこで一緒に訪問看護の仕事をしてくださる方を探しています。少なくとも3名新職員さんが必要となっております。
 精神科訪問看護のニーズは今後も高まる一方です。病院での治療技術が進めば進むほど、相対的にも社会的入院は増え、人権の問題と相まって医療経済的な理由からも精神障がいを持つ方達は地域で生活することを望まれるようになります。
 私たちは、支援をさせてもらいつつ地域で共に生きるということを、病院さん始め地域諸関係機関そして非力ですが私共福祉部門とチームとして協働しながら進めています。幾分古い言葉になりましたが、「共生社会」、それを私たちは目指しています。
 以前も申しましたが、これまでそんなに立派な仕事をしてこなかった方でもいいのです。経験の浅い若い方でも大丈夫です。入職後丁寧に指導をさせて頂きます。私共「風」で、専門職としても人間としても成長して頂ければいいと考えております。
 私たちと夢に向かって一緒に仕事をしていきませんか。


地域ネットワーク多摩から 
     フォーラム開催のお知らせ

第5回ちたま精神保健医療福祉フォーラム「“ほっ”とできる生活をこの街で」が、
平成27年6月13日(土)東京都立多摩総合医療センターにて開催されます。
参加費は無料です。お誘い合わせの上、是非お越しください。

第1部 基調講演は、13:00~
 「見える障害、見えない障害」と題して、綾屋 紗月さんと熊谷 晋一郎さんのお二人にお話いただきます。

第2部 シンポジウムは、14:30~
 「変わるのはどっちだ?」~当事者と支援者~ とのタイトルのもとバラエティーふうの趣向で行います。
    ちたまの活動に参加している支援者が当事者とともに登壇。
    対等なパートナー関係を結ぶとが主流になっている専門職と当事者に、双方の率直な想いを語っていただき、
    対等な立場で治療や支援を行うために必要な関わりの視点を探ります。

基調講演縁者お二人のプロフィール
●綾屋 紗月 さん
幼い頃から「明らかに人と交われる気がしない。一線を感じる自分はいったい何者なのか」と途方に暮れ続ける。
2006年、アスペルガー症候群(自閉症スペクトラム障害)の診断を受ける。現在、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員。
「当事者研究」を行っている。“発達障害当事者による発達障害当事者のためのフリースペース”「Alternative Space Necco」にて、
2011年より定期的な当事者研究会を開催中。

●熊谷 晋一郎 氏
小児科医。新生児仮死の後遺症で脳性麻痺になり、車椅子から離れられない生活を送っている。
小中高と普通学校で統合教育を経験した。東京大学医学部卒業後、病院勤務等を経て、現在は東京大学先端科学技術研究センター准教授。
2010年、『リハビリの夜』(医学書院)で第9回新潮ドキュメント賞受賞。

※参加のお申し込みは、訪問看護ステーション風 土屋まで 042-319-1051