理事長就任の挨拶をさせていただきます。 

これも遅くなりましたが、この度わたくし土屋秀則が法人理事長に就任いたしましたことをお知らせします。
ほんとうに未熟ですが理事長に就任いたしまして、現在は、法人施設の利用者・家族様、関係機関様に対して、職員ともどもより質の高いサービスを提供していきたいと決意しているところです。今後とも、わたくしども法人に対しましては、変わらぬご指導ご鞭撻を賜りたいとお願いする次第です。
吉澤順前理事長は、これからもわたくしどもの理事として法人の運営に携わることになっております。よろしくお願い申し上げます。

さて、理事長に就任するにあたり、わたくしは、自らの職責を遂行していくため誓いを立てることとしました。

わたくしは、理事長の責任には次のようなことがあると考えます。それは、
①利用者・家族様、関係機関様に対して責任を持つ ②職員に責任を持つ ③事業全体に対して責任を持つ ④社会に対して責任を持つ、ということです。

このうち、①~③は当たり前のことで、わたくしは、日々誠意努力してこれを達成しなければなりません。これでもすでに大変な重責です。しかしわたくしは、更にもう一つ、④社会に責任を持つということも事業を行う以上大切なことであると考えます。これも当たり前といえば当たり前のことで、すべての企業もそう考えているかも知れません。

本日わたくしは、社会に対して責任を持つということについてお話させていただき挨拶としたいと考えます。
社会というのは、案外と目に見えないものだと思います。社会とは、わたくしたちが日々お会いしてお話をする利用者様ご家族様、関係機関のスタッフ様とはちょっと別の次元の存在です。勉強してもどうしても捉えきれないところもあるものです。わたくしたちは、具体的に、利用者様やご家族様、関係機関様に役立つことはできますが、さて社会への貢献となると相当複雑で難しい作業になると思います。
しかし、わたくしは、あえて自らの仕事によって社会がよくなっていけばいいという考えをします。それが、社会に対して責任を持つことだと考えています。その作業は、抽象性を伴ったものであり、それは、①~③を行うことだけによってはなしえないと思っています。

6月8日の「ちたまシンポジューム」でも確認できたのですが、障害者問題も高齢者問題も貧困や格差の問題もエコロジーの問題も同じ根を持っている問題と言えると思います。可能ならわたしたちは、今後も社会について勉強を続け、社会に対していろいろな立場で活動している方々とも連携しながら、社会に対してしっかりと責任を果たしていくことができればいいと考えています。

そのためにわたくしたちが目指すことは、わたくしたちの事業において、まずはゆっくりとでも文化といったものを醸成していきたいということです。実はわたくしは、この法人を立ち上げるときからそのように考えてきました。ただ考えはあってもなかなか思うようには運びません。今後はしかしこのことをはっきり法人内部の一つの目標にして活動したい、と宣誓させていただきたいと思います。
わたくしたちが考える文化は、決して新しくもなく大きくもないものです。法人内にほんとうにやさしい文化が生まれれば、自然と法人から流れ出ていくと思います。ゆるやかでもその流れが人の心を潤し、その心の中にまた新しい実践が繋がっていくのではないかと思っています。
もしやさしさの実践が繋がっていき、そこで何でしょうか、“何らかの力”が加われば、目に見えないかもしれませんが社会もやさしくいい方向に向かいだすのではないかと思っています。社会に対する責任ということでは、抽象的ですが、まずはそう考えております。

今後ともNPO法人コットンハウス、フレンズをよろしくお願いいたします。

法人理事長、兼訪問看護ステーション風所長 土屋秀則


申し訳ありません。6月8日に多摩総合医療センター講堂で開催されたシンポジュームの報告が遅れてしまいました。たくさん学ぶことがあって、その分きちんと報告しなければならなかったのですが。今さらながらですが、2つだけ報告させてください。1つは、湯浅誠さんの講演で印象に残っている話。1つは私がシンポジュームで発表させていただいたことについてです。

湯浅さんが基調講演で話していたことで最も印象に残ったこと、それは、「自分たちの活動を上手にプレゼンしなさい」ということでした。私たち法人コットンハウス、フレンズは、どうもプレゼンすること、アピールすること、主張することが不得手の部分があります。いい考え方で、いい活動をしていても、同時にプレゼンしていかなければ、関係者にすら理解してもらうことは難しいし、まして社会に訴えることはできない、変えていくこともできないということでした。

さて私の報告ですが、その趣旨は、
「かつて作業所と言われていたところは、たいてい就労支援施設に変わりました。そのことでもすでに格差を感じたものですが、就労支援自体において、あちこちで格差というものが生じているように感じます。そこに支援の在り方としてジレンマを感じます。一人の人間である利用者を支援するにあたっては、地域全体にあっても一施設にあっても、多様性ということが大切ではないでしょうか?仕事は多くの人にとって大切な目標ですが、それだけということではなく多様な生き方を支援することも大切ではないでしょうか」とういうことを述べさせていただきました。

きちんと報告できなくて申し訳ありません。 by土屋秀則


chitama chirashi ← 「第3回ちたまフォーラム」のチラシです。

また遅くなりましたが、

ちたま(地域ネットワーク多摩)の「第3回ちたま精神保健医療福祉フォーラム」のお知らせをいたします。

今回は、前回の「お知らせ」でご報告させていただいた湯浅誠さんを迎えて、

湯浅さんには、「格差社会とメンタルヘルス」というテーマで講演いただき、

その後、「多様な生き方をサポートする」をテーマにシンポジュームを開きます。

わたくし土屋秀則もシンポジストとして、

「支援の多様性と支援のジレンマ」というテーマで発言いたします。

詳しくは添付のチラシをご覧いただきたいのですが、

時:平成25年6月8日(土)

場所:多摩総合医療センター講堂

参加費:無料

です。お知らせが遅くなりましたが、どうかお誘いあわせの上、

お越しいただければとお願いいたします。

できましたら、参加申込書でFAxしていただけるとありがたいのですが。

 


遅くなって申し訳ありません。

でも報告しないよりしたほうがいいと思い、3月2日有楽町朝日マリオンで開催された「湯浅誠氏講演&フォーラム」を公聴した感想をご報告させていただきます。

ここに来て格差社会が進行していますが、それは単に貧困層が増加しているということではなく、その貧困とは、お金の問題だけではなく一人個人の周りに誰もいなくなってしまうそういう状態のことを言っているそうです。何らかのきっかけで収入がなくなる。また孤立してしまう。競争社会の中で気が付くと周りに誰もいなくなってしまう。それが貧困です。子供も、子供を育てる母親も、働く父親も、大人も、高齢者も、気が付くと周りに誰もいなくなって孤立している。それでいろんな問題が起きる。貧困でなくとも、孤立だけでも問題は起きる。貧困と孤立が重なっていると更に不幸は大きい。ホームレス問題、マクドナルド難民、漂流老人、虐待の問題、そして自殺。ところが、孤立をあえて求める人間もいる。若い人がひきこもる例。いまや壮年でもひきこもっている方も多い。集団で閉じた生活を送る場合もあるかもしれない。

そこで大切なことは、「縁」を作ることということでした。社会的な言葉でいえばセーフティネットということでしょうか。個人でも縁を大切にしていく生き方が重要になっている。家族の縁、地縁、会社の縁は希薄になる一方みたいです。社会の仕組み作りの重要性とともに、個人として縁を大切にしていく生き方が求められていると思いました。

世界には貧乏=不幸ではない社会があるということです。日本は、貧乏=貧困・孤立=不幸という状況です。

私たち風&コットンは、障害があっても貧乏でも幸せになることを目標にしています。

土屋秀則(風&コットン)

 


コットンハウス、フレンズの設立当初からの理事である可山優零さんが昨年上梓された『続・冥冥なる人間』(川島書店)について紹介させて頂きます。

30年前の事故で頸椎を受傷し全身麻痺という障害を負った可山さんは、前著に続いて、現代社会が失いつつある、または多くの人が失ってしまった「幸福を感じ取る力」を、魂の遍歴を通して思索を深め探求し、これを口述で書き綴っています。

可山さんの遍歴のターニングポイントは、リハビリを断念させられ、重度障害者施設に入所するしかなかった時にあったようです。可山さんは、差別・抑圧・虐待がまかり通り、糞尿の匂いに満ちた劣悪な環境であった施設で、同室者と共に考えました。「重度障害者施設の入所者は、人間としての生活の質を享受しながら生きなければならない。それは入所者のだけの為にではなく、健常者の為に、強者の為に、でもある。人間の未来の為に、未来の人間の為に、である」と。可山さんは、その考えを実践することを、何モノかが自身に与えた使命として考えました。

以来9年の歳月をかけたのち可山さんは、地域自立生活の道を歩き出しました。その遍歴の記録を是非読んでいただきたいのです。その遍歴とは、言わばただ当たり前の幸福に至ったというだけのものなのですが、可山さんが見せてくれたその当たり前の幸福というものが、現代社会においていかに稀なものになってしまったのかということを健常者(?)である私は思い知らされました。

そして、人間はどこへ行こうとしているのか、と深く考えさせられました。可山優零さんは、冒頭で下記のように述べています。

「土壌に撒かれた一粒の米は、適正な水や養分を得られれば、1500粒に増殖する。敬意を払う実践をする成熟した人間は、物を媒介とした人間関係ではなく、目には見えない温もりで繋がる人間関係を作っていく。彼らが多くなると増殖された『愛と優しさ』が社会に融和し、価値に新風が吹き込まれ、誰もが、最期まで、人間らしく生きていける人間尊重の価値観が創造されるのであろう」と。

 

可山優零著『続・冥冥なる人間』を購読ご希望の方は、

訪問看護ステーション風 042-319-1051 か、

川島書店        03-3365-0141 まで

Amazonや楽天のインターネット販売でも購入できます。

by土屋秀則(風&コットン)